君の背中に
「馬鹿じゃないの?
 昨日、ウチ上から見てたんだよ」

怒りだす里央。
原因は逃げた私にある。

「でさ、どうすんの?
 言うこと言えてないんでしょ?」

「うん…」

「はっきりしないと」

「そうだよね」

「自分の気持ち伝えるだけだよ」

「自分の気持ち…」

ふと昨日のメールがよみがえってくる。
相手は大学生。
ただの私の片思い。

自分を思ってくれている人もいる。


「アイツのこと、好きなんでしょ?」

答えられなかった。

「来たくないなら来なくてもいいよ、
 ウジウジしないで、優柔不断なんだよね
 …イライラする」

里央の言葉が鋭く突き刺さる。
でも時間は待ってくれない。
里央の言葉は真実だった。



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