君の背中に
「いつでも言ってよ、
 準備できたら」

そんな私を励ますような
きつくも優しい言葉だった。


「うん、分かった」

「逃げるなんてなし。
 絶対だから」

今なら頑張れる気がした。
今日にでも伝えられるかも知れない。

「好きです」って。
ありきたりな4文字。
でもその言葉を伝えるために
たくさんの勇気と自信が必要だった。


「…今日、行っても平気?」

「早いね、聞いてみるけど?」

「じゃぁ電話して」

「分かった、次こそ頑張って。
 綾音と兄貴のこと応援してるし」

「ありがと」

「さっきのは愛のムチね」


いつも通りの笑顔だった。
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