君の背中に
「は?キスされた?」

「うん…」

「最っ低だね」

放課後。
今から里央の家に行くところだ。

「これで今日言うのって、大丈夫?」

「平気、大丈夫にする」

「強くなったじゃん」



電車に乗って、少し距離があるはずなのに
いつもの数倍近く感じた。

時間が過ぎるのが速かった。


「今、もう家にいると思うんだけど」

「ちょっと待って、心の準備が」

「あと3分ね」


もちろん3分なんてあっという間。
今ならカップ麺も待たずに食べられそう。

「じゃ、呼ぶよ」

顔が熱い。
昨日と同じだ。

でも今日は、もう逃げない。
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