君の背中に
時計はないけどきっともう遅い。
親に何も言わずに出てきたからな。

「本当にありがとうございます、
 でももう時間が」

「そうだな、9時過ぎてる」

「えっ」

時間はあっという間に過ぎていたらしい。

「送るわ」


自転車を押す私の横を
伶くんは歩きだす。

背高いな。
私の小ささが際立つけど
私はそれでよかった。

こんな気持ちになれたのは
きっと久しぶりだった。
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