君の背中に
家までもあっという間。

行く時とは違う意味で。



「これからもよろしくお願いしますって
 言ってもいいですか?」

不思議そうな顔をして伶くんは頷く。

「当たり前じゃん。
 綾ちゃん、綾音は―俺の彼女だろ?」

顔が赤くなるのが分かった。
その言葉が嬉しかった。

「じゃぁまた、
 また暇ん時あったら連絡して、
 俺もするから」


早く家に入らないと
絶対怒られるのは間違いない。

「後でメールしていいですか?」

「大丈夫、俺から送る」

冷たい風も冷たく感じないぐらい
私の頬は熱くなっていた。

「じゃぁ、また後で!」

もう一言、勇気を持って付け足す。

「だ、大好きです…!」

届いているかは分からないが。

「俺も!」

向こうの方からしっかり聞こえた。

持ちきれないほどの愛しさを
両手で何とか抱えながら
帰っていく伶くんの背中を
見えなくなるまで見送った。


―END―
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