表裏一体
「痛ェ…」


ベッドからすべり落ち、頭を床に打って起きた。


ふと時計を見る。
外は完全な闇。
「…3時か……あ!!やっべ!」

窓から外を見る。
かすかな光に当てられた人影が見える

「さーせん!遅れて…」

俺の目の前に居たのは
左目にモノクルをつけた怪しい男だった。
だがその表情はとてもにこやか

なんとなく気色悪い

「お名前はたしか…霧島奏人さん?でしたよね?」


「はい…ってなんで知ってる!?」

「そんなことはどうでもいいじゃないですか」

よかない!
俺の個人情報がどこからか流失してるって事になるから!


「それでですね、早速バイトの説明に入ってよろしいでしょうか?」


「はい…」


「あなたにしてもらうバイトは、死神です」

なにこの人。
イカれちゃってんのかな、とか一瞬思った

「はい…?俺まだ生きてます…」

「なにも自ら命を断てなんていうムゴいことをおしつけやしませんよ」

よかった…
いや よかねぇ!
なんでそんな非科学的なバイトをしなきゃなんないんだ!

「内容はいたって簡単ですから安心してください」
「あのさ、殺し屋とかじゃないよな?このバイト」

「とんでもない!ラクしてなんぼです」

こいつは大阪出身なのだろうか…

「私が指示を出すんでそれに従っていただければいいのです」
「そーなんだ…じゃ、なんか仕事くれ」
「あげたい気持ちは山々なんですが、特に今日はなにもありません」

んだよコイツ。
折角人が勤しんであげようとしたのに

「まだ時期が早いですからね。おや、もうこんな時間。私はお暇させていただきます」

そういって男はどこかに消えていった
説明だけで終わりかよ…

時刻は5時を指していた。

もうひと眠りするかな、
明日は土曜だし

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