さぁ、跪いて快楽を乞え!
「お待たせ。着替えるのに手間取っちまった」

「高根沢おせぇ……」

皆にいじられた腹いせに、後ろから聞こえてきた声の主に威勢よく噛み付こうとした雅美は高根沢の姿を見た瞬間、言葉を失った。

「ん? 何? 急に固まって、どうしたの?」

「いや、その……」

「高根沢、お似合〜い」

「お似合〜い!」

「本当、よく似合ってるな……」

「お前が王子役で良かったぁ!」

「あ、マジ? サンキュ」

高い背に金髪、口ピアスは外し、上着もズボンも黒で、肩には金色の飾緒、という典型的な王子役の衣裳を着こなす高根沢。
薫は不覚にも、一瞬だけそんな高根沢に見惚(ミト)れてしまったのだ。
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