さぁ、跪いて快楽を乞え!
「そのような格好をなされていたとは……」

聞き覚えのある声のした方を振り返ってみればスーツをばっちり着こなした橘が居た。

「橘っ!? 何で!?」

「何でもくそもありません。いつも通りの時間に迎えに来たのに校門にいらっしゃらない……何事かと思って教室迄来てみれば、何で? の一言ですか」

「あ、いや、その……」

たじろぐ薫をくすり、と嘲笑い一礼し、薫に言った。

「お邪魔致しました」

くるり、と身を翻し、眼鏡を人差し指で押し上げ、廊下を颯爽と歩いていく橘。勿論、薫と共に行くわけでなく……。

「あっ! おい!!」
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