さぁ、跪いて快楽を乞え!
「おいっ! 待てって!」

夕日が射し込む廊下で橘を、ドレスがなびくのも気にせず裸足で追い掛ける。

「たちば、なっ!」

息を切らし、腕を掴み、橘を止まらせる。

「何です? そのような格好で」

「えっ? うわっ!?」

「鞄も制服も持たずにどこに行かれるおつもりですか?」

「か……帰ろうかなって思って」

なびいたドレスの裾を引っ張り、話を続ける。

「電車とかも乗れないし……いや、別に橘に送ってもらいたいわけじゃないけど……でも、普段から送ってもらってるし、せっかく来たんだし、一緒に帰ってやっても構わないけど……!」

何も言わない橘に焦りを感じ、忙(セワ)しなくウィッグを弄ったり、ドレスの裾をいじったりする。
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