さぁ、跪いて快楽を乞え!
「一つ、申し上げましょう」

「……何だよ」

「私は一人で帰れるのであればそうしたい、そういう質の人間です」

「つまり一人で帰れ、と?」

「おや、少し賢くなられましたね」

言葉を失ったのか、はたまたただ黙っただけなのか言い返さない薫に笑顔で一礼し、薫を残し、身を翻して廊下を歩いていった。

薫はそんな橘をただ見送るだけだった。
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