さぁ、跪いて快楽を乞え!
「言うと思った……」

「でしたら最初から言わないで下さい。面倒な方ですね……」

「お前……さっきから酷いな!」

「おや、最初からでしょう?」

「分かってたのかよ! 分かってたなら態度改善しろよ!」

「嫌です。自分が遜るなんて考えただけでおぞましい……!」

と、橘が肩を震わせ、腕を擦る。

「……寿が俺の事本当に好きなのか不安になってきた」

ポソリ、と呟いた薫に一瞬驚いた表情を見せた橘だが、すぐに今まで薫に一度たりとも向けたことのない笑顔で薫に言った。

「好きじゃなければここにいません」

まぁ、その笑顔は束の間の事であるが……。
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