意地悪王子と天然彼女
「…ううん…違う…。私が美亜に会いに行ったら部屋空いてて…それで中入ってみたら美亜いなくて…机にこれが…」
そう斎藤が渡して来たのは…美亜の携帯の画面に映ったメール…。
その相手を見て唖然とした。
「私…綾瀬先輩って悪い噂しか聞かないから…」
今にも泣き出しそうな顔をしている。
「俺行ってくる。斎藤は部屋で待ってて!」
急いで美亜の元へ向かう。
どうか…どうか無事で…。
無事でいてくれ…。
そんな願いを込めて俺はひたすら走った。
「…美亜に手出したら…許さねぇから…」
俺がもっと早く気付いとけば…。
あんな時に喧嘩なんか…。
自分に無性に苛立つ。
「…とにかく…間に合え…」
そう俺は…二人の元へと…走って向かった。