Sweet Candy
その子がこっちを見た。
僕はびっくりしすぎて目をそらす事を忘れていた。
まるで時間が止まったみたいに時間がゆっくり過ぎていく。
数秒目が合ったあとその子は僕に背中を向けて廊下へと行ってしまった。
“また会いたい”
それが彼女を見たあとの素直な気持ちだった。
何年生なのかもわかんないし、また会えるのかもわからない。
けどなぜかそう思ったんだ。
彼女はこの学校っていう集団の中で生きているんじゃない。
ちゃんと自分を持っている。
彼女みたいな人に会ったのは初めてだ。
ずっとうんざりしていた。
このつまらない社会に混ざっている自分にも。
でも彼女は違う。
早く会って話してみたい。
この気持ちを抑えながら僕はこれから過ごすことになる教室へと向かった。