異世界にて
「…あぁ、ただいま。俺の部屋で寝ろって言ったろ?暖炉からこんな離れてたら、風邪ひくぞ?」
「あ、いつの間にか寝てたんですね…。ケイファさんと、ダルクさん達を待ってよう、と話してて…」
菖蒲は目を擦りながら話す。とても眠そうだ。
「運んでやる。寝ていいぞ」
「は、い…」
返事をするのと同時に、菖蒲はダルクに倒れ込むように寝てしまった。
「悪い。こいつ運んでくる」
ダルクは菖蒲を抱き抱え、部屋へと歩き出した。
…後ろからロイスの声が聞こえたが…気にしない。
ダルクは気持ちよさそうに眠っている菖蒲を複雑な表情で見つめる。
気のせいかもしれないが…。
さっき菖蒲が目を覚ました途端、目が合った。
その目は、とても冷たくて…菖蒲じゃないみたいだった。
そう、まるで、別人のような――