異世界にて

「サクラはダルク様をとても慕っております。それ故に、いきなり現れた菖蒲様が、邪魔で仕方ないのだと仰っていました。何もされていなければよろしいのですが…」


メイドが最後まで言い終わるか否か、ダルクはガタッと立ち上がる。


「お前は自分の仕事を続けろ。行くぞ、お前ら」


ダルクは1人、メイドを残し、走りだす。

後ろから3人がついてきているのは、気配でなんとなくわかる。


「何もされてんなよ…!」


一方、そんなことを一切知らない菖蒲は、黙ってメイド、サクラの後について歩いていた。

サクラはピタリと足をとめ、「こちらです」と素っ気なく言った。


「ありがとうございます」
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