異世界にて

「………」


サクラが黙って自分を睨み付けているのがわかる。

取り敢えず、笑ってお礼を言ったのだが…。効果はなかった。


「あの、」


「いい気にならないで」


菖蒲が喋り出すのと同時に、サクラが冷たく言い放った。


「え…」


「自惚れないでよね。ちょっと可愛いからって…いい気にならないでって言ってるの。あんたみたいな身元もわからない奴なんか…いい迷惑よ。ダルク様は、あんたが可哀想だからここにいることを許したの。あんたを気に入ったからじゃないわ。邪魔なのよ、あんた。はやくどっかに行って」


まるで、吐き捨てるように、一気にまくし立てたサクラ。

菖蒲は、ずっと下を向いたまま…。
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