異世界にて
「あんた、さっきまでと、全然…!」
「くく…。こっちが、本当のおれだ。覚えておけよ」
「あんた、最っ低の猫かぶりだったわけね…!」
サクラは動揺を隠し、悔しそうな顔をする。
「“猫かぶり”?そいつは心外だな。誰も気付かなかっただけだ。本当のおれに」
菖蒲はじりじりとサクラに近付き、壁に追い詰める。
サクラは恐怖を感じているのか、声が出ないようだ。
トン、と背中が壁についた。
「あんたみたいなの…。どうせすぐにダルク様にばれて追い出されるに決まってるわ…!ここに、あんたの居場所なんて…」
菖蒲は腕組みをし、足を持ち上げ、ガッと壁を蹴った。
「“居場所”だと?」