異世界にて

「取り敢えず、アイツが何もしないんだったら、そのまま。それに、猫かぶりってだけで追い出すのもな…」


「確かに」と頷く3人。


「とにかく、様子見だ」


ダルクはそう言うと、踵を返し、自分の部屋に戻った。

3人も、ダルクの後を追い掛けて行った――




一方の菖蒲は、ベッドに横たわり、肩で息をしながら何やら呟いていた。


「大丈夫だよ。ごめんね、わたしが弱いから…」


ギュッと布団を握り締める。


「…なんでだろ。ここ、懐かしい感じがする…。こっちの世界に来たの、初めてなのにね」


菖蒲はしばらく黙り込み、微笑すると、そのまますっと眠りについた。
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