異世界にて

「飯だ、飯」


「てめぇ、そんなんでおれの眠りを妨げたのか?」


そんなんでとはなんだ、そんなんでとは。

ダルクが言い返そうとした瞬間、菖蒲は頭を抱える。


「…おい?」


「…………」


ダルクが話し掛けるが、まったくのムシだ。


「………ちっ」


菖蒲は何やら悔しそうに舌打ちをすると、目を伏せる。


「……わかった」


ポツリと呟き、目を開く。

そして、スッと立ち上がる。


「……ふぅ」


ダルクがポカンと見つめる中…菖蒲は深呼吸をすると、ダルクの方へ向いた。


「すいません、ダルクさん。ご迷惑を掛けてしまって…」


気が付けば、菖蒲はいつもの菖蒲に戻っていた。
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