異世界にて
ダルクが呆然と菖蒲を見つめる。
菖蒲は、ふと顔を上げ、「ごめん」と苦笑した。
「は?」
「あ、いいえ。なんでもありません」
菖蒲は「行きましょうか」とダルクを促したが、ダルクは動かない。
「? ダルクさん?」
「おい…。なんで着替えてねぇんだよ」
菖蒲はキョトン、とすると、自分の服装を見つめた。
「あ…」
まだ、私服のままだった…。
そういえば、すぐに寝てしまったため、この部屋もよく見ていない。
「すいません…」
「…いや、もういいや。早く飯食おう」
「…はい」
菖蒲はしゅん、と頭を下げ、とことことダルクの後ろを歩く。
そんな菖蒲に、ダルクは声を掛けた。