異世界にて

「じゃあ、敬語止めるね!知らない人って、どうしても他人行儀になっちゃって…、正直疲れるの」


口元に手をやり、苦笑する。

ケイファは一緒、驚いた表情を見せたが…すぐに笑顔になった。


「そっか!それがあーちゃんなんだね!」


…そう。これがわたし。

"梗ちゃん"じゃない。

今のわたしは…"菖蒲"だ。


「でもさー、疲れるなら、もっと早く普通の口調になればよかったのに…」


「……警戒心、というのでしょうか……、向こうの世界でも、砕けて話せたのは優莉と優希しかいなかったんです」


「あ。敬語になってる」


「あ……」


やはり、無意識に敬語になってしまう。


「頑張りま……、じゃなくて、自然に話せるように頑張る」
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