異世界にて

「…………」


急に黙り込み、不安げな表情をする菖蒲を見、ケイファは言わなきゃよかった…、と後悔する。

というか、馬鹿野郎、という視線がダルクからバンバン送られてきて、痛い。


『バァーカ』


暗い表情をしていた菖蒲の顔が、ハッとしたように少し明るくなった。


『優莉と優希は大丈夫だ。万が一こっちに来てたとしても、問題ない。適応力があるからな。お前と違って』


いつも、わたしを助けてくれる存在。

その存在が、わたしの中にいてくれて、本当に助かる……。

この声を訊くと、わたしはいつも安心してしまうのだ。


『最後のは余計だよ』


と言い返すと、『事実だろーが』と返ってきた。
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