異世界にて

「住んでるんですか…」


「うん。ボクら4人全員、ワケありでね。家にいたくないから、ダルクの別邸で住ませてもらっているんだー」


結構深刻な話なのだろうが、ケイファが言うとどうしても普通に聞こえてしまう。


「家に、いたくない、か……」


「そ。ボクはただ単に、両親とケンカしてるだけなんだけど、凄い拗れちゃって。帰るに帰れないんだよねー」


…両親と、ケンカ…。


「いいな……」


心の中で呟いたつもりだったのに、ぽろりと口から漏れていた。

しかも、隣にいたケイファに聞こえたらしく……、


「いいな?何で?」


ほら、来た。


「わたし、両親いなくて…だから、ケンカできるって、いいなって」
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