異世界にて

「おい、いい加減起きろ」


ズンズンと部屋の中に侵入していく。

……ていうか、暗い。

今、外は豪雨。

雷も鳴っている。

そんな中カーテンを全て閉めているため、余計に暗い。

ダルクは少々荒い足音を立てながら、菖蒲が眠っているであろうベッドへと近付く。


「……おい、お前……」


菖蒲が、起きている。

ただし、ベッドの上で布団に包まっている状態で。


「何やってんだ。さっさと飯……――」


菖蒲の肩に、手を置いた瞬間だった。


「うあぁああっ」


パシン、と菖蒲に手を振り払われる。


「………」


ダルクはそれを唖然と見つめ、振り払われた手は、行き場をなくしゆっくりと下ろす。
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