異世界にて

 それからダルクは、昼食も運びに行ったが、食べた様子が一向にない。

いよいよ夕食の時間となったが、出て来る気配がない。

ダルクはため息を吐くと、菖蒲の分の夕食を持ち、また菖蒲の部屋へと向かう。


「……やっぱりな」


思った通り、昼食も手をつけていない。

仕方がない、か……。


意を決してノックをし、菖蒲の部屋の中へ入る。


「入るぞ……」


「…………」


やはり、無言。

誰もいないように静かだ。


「……おい」


ゴロゴロ…ピカッ!

ダルクの声に、雷の音が被る。


「っ……!」


ビクッと菖蒲の体が強張るのが見えた。


「……飯、食えよ。ぶっ倒れるぞ」


そっと、音もなく近付く。
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