異世界にて

 “貴族”という言葉が、頭の中でグルグル回る。

貴族なんて、今の日本では使わない。

それに、よく見れば派手な髪が多い。

…この人達は、外国人?

悶々と考えていると、金髪の少年が不安げに顔を覗きこんできた。


「どうしたの?」


「…あの」


少女はくっと顔を上げ、問う。


「? なんだい?」


「…ここは、何処ですか?」


…………………。

辺りが沈黙で包まれる。


「へ?」


一番最初に口を開いたのは、オレンジ色の髪の少年。

他の少年達も、ポカンとさている。


「え、いや…だからあの…。ここは、何処ですか?ヨーロッパの何処かですか?」


「は?」
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