〜初恋〜アナタに溺れる
どうしても今、ここでちゃんと聞きたい。

じゃなきゃ…気になって、悩んで自分を見失いそうだから。

ここでハッキリさせたい。

これから会う健哉のためにも。

「…俺さ、お前に再会して懐かしくて、昔を思い出したんだ。なんてゆーか…嬉しさが行動に出ちまった。ごめんな…」

真っすぐ見ていた目は少し伏せ目がちになって、フッと零れた笑みに切なさが込み上げて…

猛の言葉が嘘なのか、本当なのか…聞けば分かると思ったのに、やっぱり分からなくて。

「麻…乃?」

いつの間にか、視線を変えていた猛は私を見て驚いてる。

「な…なに?」

「なんで泣くんだよ。」

えっ?

泣く?!

私は右手で頬に触れて、流れる温かいものに気づく。

私…泣いてたの?

なんで?

一瞬…辛そうな顔をした猛は…

「…っ、もう」

そう言って私を強く抱きしめた。

さっきよりも…昨日よりも…ずっと。


ねぇ…

少しの間だけ…今この瞬間だけでもいい。

猛を私に下さい…






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