〜初恋〜アナタに溺れる
「そーいえばさ、麻乃は彼と結婚しないの?」

「んへっ?!」

突然フラれたとんでもない内容に、思わず声が裏返ってしまった。

「プッ…何その反応」

「…うっ。だってビックリしたんだもん」

「なんで?」

パスタをフォークでくるくると器用に巻ながら、不思議そうに私を見る。

「……なんでって…何が?」

うわっ…

私めっちゃ動揺してんじゃん。

明らかに変な質問返しだよ…

「麻乃さぁ…なんかあったでしょ?」

核心をついた志穂の言葉に冷や汗が流れる。

確かに…”なんか”はあったけど、それ…言えるわけない。

親友の婚約者が昔好きだった相手で、再会したら焼けぼっくいに火です。

なんて…ねぇ?

ドラマじゃあるまいし。

「…ちょっと…まさか、図星??」

いつまでも返事をしない私に、志穂の言葉が続く。

「あっ…え?」

「はぁ…ねぇ、最近ボーッとしてばかりだし、仕事中も上の空、挙げ句裏方に回ったり…私には言えないの?」

あぁ…丸っきり気づかれてるんじゃん。

私って隠し事下手なんだね。

アイスティーを一口喉に流し込んで、私は重い口を開いた。






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