〜初恋〜アナタに溺れる
飲み終えたココアのマグカップをテーブルへ置いて、大きく深呼吸した。

「さっきね…あの店の前で…彼氏とすれ違ったの」


うん…と頷くだけの返事を確認して、そのまま続けた。

「女の子と一緒だった。すんごく可愛いの、私とは正反対でさ…なんで…だろう。こんなふうに終わるなんて…考えたこともなかった…っ…。何がいけなかったのかな…」

止まっていた涙はまたどんどん流れて、俯いた瞬間にポタポタと手の甲に落ちた。

私…健哉のこと好きなんだ。


こんなに苦しいくらい健哉が好き…


「麻乃…ちゃんと話した方がいい。もしかしたら、ただの会社の人かもしれないじゃない。ね?」


違うよ。

絶対に違う。

私には分かるの…


「ただの会社の人と志穂は手を繋ぐ?」

「えっ?」

驚いたように私と視線を合わせた。


「手…繋いでたんだよ?それって…そういう関係。ってことでしょ?」

心はガチガチに冷たいのに、流れる涙は温かい。

私達…やり直せるかな。

また信頼し合えるかな。


もう一度…心から愛せる?





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