〜初恋〜アナタに溺れる
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あの日以来、麻乃は俺を避けるようになった。


担当も代わり、電話にも出ない。


分かってるんだ。


きっと、俺と絵里香の事を思っての行動だろう。


だけど、それが余計に俺を苦しめた。


麻乃への想いが一気に加速したんだ。


叶わない恋。


伝えられない想い。


苦しくて苦しくて…どうしようもなかった。


絵里香を嫌いになったわけじゃない。


ただ、それ以上に麻乃への気持ちが募ってしまった。


今更、結婚を白紙に…なんて都合よすぎるだろうな。


でも、それくらい真剣に想ってる。


伝えることが許されないなら…、例えどんな形でもいい。


アイツの…麻乃のそばにいたい。


だから…また懲りずに電話するんだ。


出てくれないと分かっていても、今度は…なんてバカみたいに期待して。


仕事が終わったあと電話をかけた。


呼出し音が寂しく…虚しく響く。



今日もダメか…。

そう思って耳から離そうとした。


『…はい』

出た。

でも…なんか様子がおかしい。


泣いてるのか?





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