〜初恋〜アナタに溺れる
何が違うだよ。

何が大丈夫だよ。


嘘ばっかじゃねぇか。

なんで強がるんだ。

そんなふうに健気に頑張られると、益々ほっとけない。


抱きしめてやりたくなる。

アイツごと守ってやりたくなる。


なぁ…

なんで、おまえはそんなに俺の心を掻き乱すんだ?


なんで、俺の心を占領して忘れられなくするんだ?


なぁ?

気付けば車を走らせていた。


アイツの部屋目指して。


アイツを抱きしめたくて。


引っ越してないよな…

卒業式の日に、一人暮らしを始めると教えてもらったマンション。


あの日のままなら…

引っ越してないことを願いながら…


目的地に着いた。


確か…3階。


…あ、あった。

”渋谷”

間違いない。

まだ、ここにいたんだ。

大きく深呼吸してインターフォンを押す。


…ガチャッ…

と、ドアが開く。


目の前には、泣きすぎだろ…

そう言いたくなるほどに、目元を腫らした麻乃。


やっぱ、ただの強がりじゃねぇか。



俺はそんな強がりで泣き虫な麻乃を、そっと抱きしめた。






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