〜初恋〜アナタに溺れる
私はそのまま猛の腕の中で深い眠りについた。


トクン…トクン…と猛の鼓動を聞きながら、ゆっくりと瞼を閉じる。




ねぇ…

懐かしい夢を見たよ。


猛と初めて会った日。

ちゃんと覚えてるんだ。


合同の入学式。

遅刻しそうな私は息を切らして、入学式の会場に駆け込んだ。


コンサートでよく使われる会場はやたら広くて、入口がたくさんあって…


私は迷ってた。


もう、完全遅刻…

会場内から、理事長らしき人物の挨拶が聞こえた。


中に入る事を諦めて、近くにあったベンチに腰掛けたんだ。


その時、同じように遅刻して怠そうに歩く男の子。


それが猛だった。


ねぇ、あの時私も猛も遅刻しなかったら…


お互いの人生で交わることはなかったんだよね。


一緒に過ごすことも、

親友になることも、


初恋も…。


それに、こうして今隣にいることも…



猛は、私に出会えてよかったって…少しでも思ってる?



私は…



私はね、猛に出会えて…恋をして…



よかった、って思ってるよ。





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