〜初恋〜アナタに溺れる
長いキスから解放されて話そうとした途端、今度は抱きしめられた。

一体なんなの?

どうしたっていうの?

抱きしめられている間に呼吸を整える。

健哉の力が少し緩んだ時、ようやく口を開いた。

「…ごめん。なんか、無理矢理だな。」

俯いて前髪を右手でクシャっと掴んで、大きく溜息をついた。

「どうしたの?」

健哉の顔を覗き込むように身体を屈める。

「俺…余裕ないな」

クスッと笑って顔を上げた健哉。

いつもの自信に満ちた瞳とは違う。

不安げな…ちょっと切なげな…そんな瞳。

「私…なんかした?健哉らしくないよ?」

まっすぐに見つめたまま問い掛けた。

黙って首を横に振って…またギュッと抱きしめて

私の頭に顎を乗せながら小さく呟いた。


「……好きすぎて…ヤバイかも…」


って。

嘘でしょ?

健哉?

そんなこと普段言わないのに。

さっきみたいな強引なキスも普段と違うし。

あんな顔だって…みせたことないのに。


なんか、変だよ。

今日の健哉、絶対なんかおかしいよ。


なんか…あった?




< 81 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop