〜初恋〜アナタに溺れる
「よし。充電完了!」

そう言って私の手を繋いでまた、歩きだした。

結局どうしたのか教えてはくれず。

店に入ってからも、さっきまでの雰囲気とは打って変わり元通り。

「そーいや、アイツ結婚するらしいよ。」

アイツ…

猛だ。


なぜ、彼が知ってるかって?

幼なじみという関係で、そりゃーもう私より遥かに付き合いは長い。

それを知ったのはホントに偶然で…

私の卒アルをいつだったか見せた事があった。

その時…たまたま猛と何人かの友達と撮った写真が彼の目に止まって。

でも、私と猛のことは何も話してない。

必要ないと思ったし、話したところで過去の事だし。

でも、それ以来、健哉の会話の中に時々出てきてた”アイツ”という単語。

今となっては不運な偶然…

としか言いようがない。

だって、私はついさっき会社で猛と会ったんだから。

二人きりじゃないけど。

やっぱ言った方がいいのかな。

私が猛の結婚式を手掛ける事。

婚約者が私の親友という事を…

話すべき?

まだ話さなくていい?

そう、考えてると…

「麻乃?聞いてる?」

「あっ、ごめん。結婚だっけ?呼ばれたの?」

「…いや、式は身内でやるらしい。二次会のパーティーだけ」


そっか。

なら、わざわざ言わなくてもいい…よね?




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