〜初恋〜アナタに溺れる
猛の動きがピタリと止まった。

そして…ポケットに両手を隠して、見上げたんだ。


空を…。

今日の空はキラキラと輝く星が無数に散りばめられてるんだ。

私も見たから…。

ねぇ、この星空と猛と私…あの日と同じだよ。

思い出してた?

「キレイだな…」

空を見たまま、フッと優しく笑って。

私はそんな姿に見惚れてしまっていた。

もう…ダメ。

どうにかなりそう。

だから、猛に気づかれないようにそっと向きを変えて歩きだした。

好きが溢れて取り返しがつかなくなる前に。



……ふわり。

何かに包まれた瞬間。

えっ……?!

温かいぬくもりと、回された力強い腕…ドクン…ドクンと徐々に加速していく鼓動。

私、今抱きしめられてる。

他でもない…猛に。

どういうこと?

ねぇ、なんで?

驚きと戸惑いで抵抗することも忘れて、ただ抱きしめられる力が強くなるのを受け入れていた。

私に体重を預けるように、頭を下ろした時…耳元に熱い吐息がかかる。


「……ッ…っ…」

微かに反応してしまう身体。

…って、何やってんの私!


「ちょっと…猛、離して…っ」





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