〜初恋〜アナタに溺れる
「……ムリ」

また抱きしめる腕に力を込める。

「何言って…ねぇ、離してってば」

身体を動かして何とか離れようとするけど、びくともしない。

必死にジタバタしていたら…

「…ごめん」

スルリと力なく離された腕。

振り向こうとした私を猛が止めた。

「振り向くな。…そのまま帰れ。」

背中を押され、言われたとおり真っすぐ目的の場所へと足を進めた。

後ろから聞こえる小さな溜息を感じながら…。



―――バタッ――

部屋のドアを閉めると同時に、その場に崩れ落ちた。

抱きしめられた身体が熱い。

触れられた感覚が余韻を残して…。

まだ…こんなにドキドキしてる。

整理出来ない頭の中と甘い感触に痺れてる身体。


一体…なにがどうなってこんな事になったんだろう。

どうして抱きしめられたんだろう…

抵抗しながらも、求められた事に嬉しく思う自分がいた。

そんな事少しでも思っちゃダメだけど…分かってるけど、

でも…嬉しかったの。


ごめんね…

ごめんね、絵里香

ごめんなさい…健哉。





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