〜初恋〜アナタに溺れる
「だって…突然なんだもの。驚くよ」

「そうか。仕事が早くに終わったから、夕飯でもどうかと思ってさ。」

「行きたいけど…まだ仕事があるの。」

仕事…だよね。これは。

でも…今もしここで猛に会ってしまったら、きっとやましい事があるんじゃないかと疑われる。

猛の結婚式を私が手掛ける…その事実を言わないでしまったから。

どうしよう…今さらドキドキしてきた。

もうすぐ猛が来てしまう。

健哉と鉢合わせしてしまう…

それだけは、何とか避けなければ誤解される。

一点を見つめて考え込んでいた私。

頭上から健哉の声が聞こえた。

「麻乃?どうかした?」

「あっ…なんでもない。ごめんね。早く終わったら電話するから。」

「分かった。じゃぁ、あとでな?」

私の頬に触れると、そっとキスを落とした。

……!!!

ちょっと…こんなとこで。

やっぱ…何かが違う?

健哉らしくない事が昨日から多すぎるよ。

だけど、何かあったかなんて聞けなかった。

聞くのが怖かったんだ。

だから、気づかないふりをしてしまった。

それが…いけなかったのかな?

寂しそうな健哉の背中を無言のまま見つめた。





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