犯人ゲーム
1,始、あるいは死
『一ノ瀬 陽一』が目を覚ますと、暗闇の中だった。
霞む目をこすりながら、陽一は上体を緩慢に起こし辺りを見渡した。
……ここは、どこだ。
暗闇の中に視線を泳がせる。
……誰かいる。
それも一人ではなく大勢の人間がだ。
皆一様にざわついていた。
いまだ醒めきらない頭を働かせる。
最後の記憶は、修学旅行先に向かうバスの中。そこで途絶えていた。
『皆さん。オハヨーゴザイマス』
突然、声がした。
そして連なるように前方が明るくなる。
暗闇ではわからなかったが前の壁には液晶画面があるようだ。
液晶画面の発光は次第に収まり、けれど妙な形を作っていく。
それはネコのようだった。
けれどその顔は、三日月のように口を裂き醜悪な笑みを浮かべている。
『はじめましてみんな。僕は【チェシャ猫】って言うんだ。よろしくね♪』