犯人ゲーム
チェシャ猫はまた細い目で周囲を見渡す。
『残り時間は少ないよ、あと六時間。それと最後のヒントを皆にあげるよ』
チェシャ猫の言葉に室内がざわつく。
最後のヒント。すっかり忘れてた。
まぁ元々俺にはヒントとか犯人とか、ゲームの根幹は関係ないしな。
どちらかと言えば俺。それから藍原は皆とは対極に位置する、チェシャ猫側の人間だ。
クラスの中じゃイレギュラーに他ならないだろうな。
『最後のヒントはね、「犯人は動かない」だよ』
画面の中のチェシャ猫の体は既に崩壊を終え、その浸食は顔に伝播し始める。
それでもチェシャ猫は笑い続ける。
『それじゃ、皆。また、六時間後。『犯人』が見つかってるといいね』
そしてチェシャ猫は声を上げて笑う。
下卑た笑い声はただただ不快でしかなかった。
チェシャ猫の全てが消えたのはそれからすぐだった。