犯人ゲーム



「ぐっ!?」


蹴りは男子の脇腹に的確に決まったが、流石に倒れない。


「てめぇっ!!」


気合いにも似た怒号を吐き出し、男子が俺に突っ込んでくる。


「死ねやぁ!!」


ふりかぶった拳が俺の顔を狙う。


「喰らうかよ!?」


拳を寸でで横に交わし、男子の表情が固まる。


当然だ。


俺と男子の間は既に1メートルもない。


それに男子の顔面を守るすべもない。


「喰らいやがれ」


逃げられないように襟元を掴み、渾身の右ストレートを男子の顔面に打ち込んだ。


瞬間、噴き出した男子の鼻血が顔に掛かった。


男子は倒れもんどりをうつ。勝負はついた。


あと一人。


睨みつけた先には、吉井の友人が。もとい腰巾着か。


残った女子は、震えたまま。けれど銃を俺に向け続けている。


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