犯人ゲーム
それでも彼女は銃を降ろさない。
人知れずため息をついた。
そして後ろポケットに右手を伸ばして、『銃』を掴む。
「う、動かないで!!」
それは無理な話だ。
瞬間、俺が動く。体を、彼女から見て横から縦に。
被弾面積を狭める為に。
けど、乾いた銃声が聞こえた頃には既に左肩は熱を持ち血を噴き出していた。
撃たれた。
しくじった訳じゃない。ただ彼女の反応が早かっただけ。
苦痛をかみ殺し、俺はけれども銃を向ける。
狙いは女子。その後方。
さっきハイキックで女子と一緒に吹き飛ばした男子だ。
奴は、彼女の後ろから狙っていた。
なかなか狡猾な野郎だと評価出来る。
けど、今の俺にゃあ関係ない。
俺は生き残ることに変わりはない。
バァンと音がして、目の前にいた女子の腹部から勢いよく血が溢れた。