犯人ゲーム
床に赤い血が広がり、命が徐々に体から損なわれていく。
ゴホゴホと、肺を貫通したのか血が混じった咳を繰り返す。
多分、長くは保たないだろう。
「苦しいか?苦しいなら、トドメをさしてやる」
咳にもならない、吐露にも似た呼吸。
瞬きさえも緩慢だ。
「済まない。俺が出来るのはそんな事だけだ」
別に、悪魔だの殺人鬼だのと罵ってくれても構わない。
それが俺の唯一出来る尾瀬に対しての慈悲だから。
「……あ…ぐぅ」
喋るな。とは言わなかった。
「……近く、に。い、る?」
「あぁ。だが残念ながら俺だがな」
「……ふぅ、ふぅ。……どうし、たの?私を、殴らない、の?犯さ……ないの?」
瞬間、俺は吹き出した。
犯す。って。
「ありゃあ。単なる脅しのつもりだったんだがな?」