犯人ゲーム
「脅し、ね…。そうは聞こえ……なかった」
「脅しが脅しに聞こえなかったら脅しにならないだろ?」
尾瀬は少し表情をほころばせ「そうね」と呟いた。
ふと俺の手に何かが触れた。冷ややかな、けれど柔らかなそれ。
掴むんだそれは尾瀬の左手だった。
まるで、死体のような手。
まるで温度を感じない。
命は、既に尾瀬と言う人間から損なわれていた。
彼女もまた、俺が殺したようなもの。
尾瀬は銃を撃ったが、人は殺してないはず。
あの世で会うことは叶わないだろう。
けどもし再会を果たしたなら謝ろう。
俺はそう心の中で誓い、尾瀬のまぶたを閉じてやった。
さて、残るは俺と。望美と陽一。それからーー。
バァンと乾いた銃声がした。
……銃声?
なん、で?
腹部に違和感を感じたのはそれからすぐだった。