犯人ゲーム
気絶させたと思っていた。
甘かった。考えも、俺の実力も。
「……ちく、しょう」
あと、少しで。あと少しで彼女が救えたのに。
こんな所で、死ぬ、なんて。
尾瀬の腹部に頭を乗せ、最後の力を振り絞って仰臥した。
まるで影にその身を塗りつぶされたようだった。
影が笑っている。
その様はどこか現実離れしていて、どこか幻想めいている。
「……ハハッ」
自分の言葉に苦笑した。
なに言ってんだ俺は。
何が幻想だ。
何が現実離れだ。
バカを、言ってんじゃねぇ。
震える手で、本当の俺の銃を、胸ポケットから取り出して。
影に狙いを定める。
いよいよ。…お別れだ。
脳裏に浮かぶのは、陽一、遥。それに望美。
……望、美。
修学旅行の中で、告白するつもりだったんだが、叶わなかったなぁ。
俺は守ってやれたかなぁ。