犯人ゲーム

あとは、そうだな。


陽一に託そう。


アイツはどうあがいても不器用だけど、優しい奴だ。アイツなら多分ーー。


ぐぅ、視界が霞む。些か血を流し過ぎた。


時間がない。


「そいじゃ、……俺もお別れだ」


腹筋に力を込め、銃を持つ手を伸ばす。


ぶじゅっ。血が吹き出たが気にはならなかった。


痛覚は既に死んだのだろう。


「死に、やがれ」


朴訥（ぼくとつ）な銃声。


吹き飛ぶ影。


人がまた、死んだ。


思考が泥（なず）む。


酷く眠い。


闇の中に落ちる感覚。


茫洋とした、静謐な暗黒一色。


何も見えない。


何も聞こえない。


何も話せない。


何も触れない。




世界が終わる。



俺の、世界が、終わる。



暗黒に沈む。










そして俺は鬼籍に名を記した。



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