犯人ゲーム
けれどそんな心配をよそに望美は「誰も来ないよ」と陽一に告げる。
どうしてだかそれは独白のようにも聞こえた。
「なんでそんな事」
言い切れるんだ?
陽一の問いは宙を舞った。計ったかのように室内に電子音声が響きわたったのだ。
『ハロロ~ン♪皆のアイドル、チェシャ猫だよ~』
拍子抜けする適当な口調が室内を駆け巡る。
しかし今回は連れ添う体は姿を見せない。
画面は暗いままだ。
『残り時間をお知らせするよ~ん♪
残り時間はいよいよ三十分を切って二十九分とちょっと』
二十九分?
あとたったそれしか残ってないのか。
『残るプレイヤーはあと二人だけだね♪』
……。
…………は?
陽一は、自分の耳を疑った。
あのクソ猫、今、なんて言った?
残りプレイヤー、二人?