犯人ゲーム
黒目がちな双眸が憂いを帯びて僅かに揺れる。
「陽一に撃たれるなら、私に悔いはないよん」
間延びしない、望美に限っては変な違和感があって、どこかむずがゆい。
「アホな事言うな。僕が望美を撃つわけないだろ。それに僕は今、銃なんて持ってない。光二に持ってかれたんだ」
「私の銃があるよ」
望美は自身の胸元に手を突っ込む。
自然と陽一の目はそれを追いかけ、慌てて目を逸らした。
危なかった。普通に注視してしまう所だった。
今更だ、そう思う所はあるのだが。それでもやはり、見るわけにはいかない。
それが理性ってものだから。
「はい、よーいち。この銃で私を撃つといいよ」
手渡された、黒い銃。
胸の間から取り出したそれは妙に暖かかった。