犯人ゲーム



それにね。と望美は言葉を続ける。


「あの時の当事者は皆死んだ。一人残るはずなのに。チェシャ猫の言う罰ゲームがない事を鑑みても殺したのはチェシャ猫に間違いないはず。多分、全員ね」


……最後の一人。


それは遥に他ならない。


「……皆殺しって事かよ」


「確証はまだないけどね」


しかしそんな事を聞いたらチェシャ猫を疑わずにはいられない。


何より憎悪が巡る。


奴が遥を殺した『かも』しれないのだ。


その疑惑が渦巻いて、自分の中にどす黒い感情が湧き立つ。


だが。


「何であの銃撃戦を思い出させたんだ?」


思考が一気に冷却されていく。


疑問が憎悪を吹き飛ばす。


望美の頭には何が描かれている?


茫洋とした黒瞳に困惑する陽一が映った。


「わかんないかな。あの時皆、どう倒れてた?」


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