犯人ゲーム
8,糸、あるいは死
★ ★ ★
目の前で、幼なじみの頭が爆ぜた。
返り血が『私』の顔に掛かる。
ついさっきまで喋っていた相手が、目の前で撃たれて。
死んだ。
叫びを上げたい衝動に駆られた。慟哭にもにたほうこうを。
けど、その感情は全て嚥下した。
瞑目し、噛みちぎれんばかりに下唇を噛んで。
自分の感情を押し殺す。
叫ぶな。
泣くな。
喚くな。
……悪いのは私なんだから。
私は悲しんじゃダメだ。
目も、逸らすな。
茫洋と、壁すら巻き込み際限なく広がりを見せる闇の中。
陽一は目の前で頭から血を流し、形を変えて絶命していた。
『ゆうしょーおめでとーん♪』
不意に、あっけらかんと、まるで人を小馬鹿にしたような電子音声が耳に届いた。