犯人ゲーム



藍原がマネキンを撃ち抜いてからどれくらいの時間が経ったろう。


多分、一分も経ってはいないのだろうけど時間は苛つくくらい長く感じた。


けど、そんな陽一の苛つきなど無視してその声は唐突に室内を包み込んだ。


『はろはろ~♪』


「!?」


意識より先に体が動く。無意識の内に陽一は身構えていた。


視線は前方、液晶画面を睨みつける。


「……チェシャ、猫」


吐き捨てるように呟く、愉快犯の名。


陽一だけが、という訳ではない。


クラスメート達は皆、同じような敵愾心を剥き出しにしてチェシャ猫を睨みつけている。


『怖いなぁ♪みんなそんなに僕を睨まないでよ、僕泣いちゃうよぉ♪』


チェシャ猫は、まるで今の状況を楽しんでるかのようにおどけてみせる。


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